閉じる

ホーム > 子育て・教育・文化 > 文化 > 島口 > 徳之島尾母方言集 > 尾母方言~ユ行~

ここから本文です。

更新日:2013年4月12日

尾母方言~ユ行~

50音区分(区分を押してください。画面が遷移します)

ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ラ行 ワ行

徳之島尾母方言集

島口 標準語 用例・意味等
ユエティ=夜が明けて
ユヌクェィテ=日が暮れた
ユナガート=深夜まで
ユナガモ=深夜に水田に飛来する鴨
夜仕事(ユナビ)。夜子豚(ユナウヮー)。今宵(ユサイ)。夜鳥(ユガラ)。夜伽(ユトギ)。夕暗(ユヤン)。夜暗(ユヤン)。

世の中
農作物の良し悪しに、ユヌユタイ(世が良い)ユヌワサヌ(世が悪い)という。
俚諺

浮世(ユ)んば金次第(シデー)。

ユー もっと ユーユー=もっともっと、益々。ヨクヨクのヨがユに訛ったのか。ユンバも同義。ユンバユンバの如し。複合することによって意味を強める。
ユー よくも 此(グン)の雨から濡(シッタ)れてユー来たね(チャーガ)。早(ヘ)く家内に(ヤンニャカチ) 入(イ)りん候(ソーレ)。
ユーシ
おし
イューシ。イューシムンバテチムン啞者のように口数が少ない。オシの訛りか。
ユイ
ふるい
穀物の調整用具で竹で編む。米と糠をより分けるために小さな穴が底にあるのはフイ(篩う)で稲粕と籾を選別するのはユイと呼ぶ。
民謡

稲摺(シ)り摺(シ)りよ 籾粒(アラ)ユリユリよ
気張(キバ)て摺り妹ん達(ウナイキャ)シキュマ被(カメ)らすんど

ユイ 雇う ユイワク=労力交換。人(チュウ)を雇う(ユイシ)。
ユイカンデ=労力の借り
ユイナシ=借りの返し
ユイキ 寄木 漂流して打ち上げられた木。寄木を屋敷内で使うと、寄木の宿り神の祟りがあるという。
祟りとは、寄木を便所や縁側に使用する場合があったとかで、そのため災禍を呪者に占わせると寄木逆柱、石の無断使用、信仰不足等を祟りの理由にあげる。寄木のなかでも船木は殊のほか嫌う傾向がある。呪者をして寄木を元の場所に返し呪言を癸上して、祓う神事がなされるのが普通である。
ユイノゥ 結縄 茅や藁の結え用の縄。ユイは結える。ノゥは縄の意である。稲束、薪、草などをユイノゥで括って運搬する。釣糸にもノゥと言う。投縄(ナゲノゥ)、弓縄(シキニョウ)、荷負縄(ウシニョウ)。ノゥがニョウに変移する場合もある。ユイノゥは茅をそのまま使うが、ニョウは縄に綯ったものに言い、両者の相違が認められる。
ユゥィ 夕飯 夕飯(イイ)の転訛か。夜中夕飯(ユナンサナユゥィ)の習俗を思い出す。うす暗くなって作場から帰り、水汲み、食事の支度そして9時頃に夜半食をとる。幼児は欠食のまま寝る頻度が極度に多かったのである。
俚諺

廿日(ハチカ)月ぬ上(アガ)らんと 継子(マンマグヮ)ぬ夕食(ユイカ)み折(ウイ)ならん。

ページの先頭へ戻る

ユゥイ 酔う 酔(ユゥイ)どれ者(ムン)。
ユウドリ 夕凪ぎ
夜凪ぎ
 
ユゥビィ 昨夜 夕(ユウ)の縁語か。
民謡

ユゥビィ迄(カデ)遊(アン)だるカンツメあぐぐゎ
明日(アチャ)が夜(ユル)なたっと 後生(グシュ)が道み袖(スデ)振(フ)りゅり。

ユェー 祝い 人生儀礼には多くの祝いが必ずつきもので、その内容や方法もちがう。鬼角ユェーの島と言える。
民謡
  • 今年(クトシ)此月(クンチキ)や縁(イン)ぐゎぬ祝(ユエ)-
    来年(ヤニ)ぬ今(クン)月や思(ウ)めぐゎ産(ナ)ち大祝(ウーユェ)い。
  • 八十ぬ年なりば八月八日
    枡(マシ)と斗掻(トカキ)大祝(ユェ)ぐと。
ユェーダ 祝田 祭り田と同義の田。マチリダの項参照。稲の植付け、成育祈願、収穫祈願などの農耕儀礼をする田のこと。常に水に恵まれる地点にあり、化学肥料のほか施肥もできないなど特別扱いされる。
ユカサ 床の下 サは下の意。床下清掃(ユカササレ)は正月準備の一つ、家擢(ヤダレ)と一緒に年一回するのが例であった。床は竹を編んで造る。竹床は通風がよく畳の保存にはよいと言う。未熟児の死産児や出産間もない幼児は地炉(ヂル)のユカサに埋めた。と聞くが火神との関係で捉えるべきと思う。
ユガ 歪む
よんご
曲る
迷路(ユガミチ)、ヤヌユガデ=家が傾いて。
ユガラ 夜鳥
夜がらす
鳥に似た鳥で、夜間に人の周囲を飛び交う習性がある。夜鳥(ユドイ)が家に飛び込むと縁起が悪いとの俗信がある。鳥迷(トイマデ)とは山鳥が家の中に飛び迷い込むことで、古くはその祟りを避けるため、終日雨戸を締め切り外で一日を過したり、浜下りをして一日を過し夕刻に家の中にはいったとのこと。昼間も鳥の鳴き声は縁起が悪いと信じている。
民謡

夜鳥(ユドイ)ぬ鳴ちゃんて ちや思(ウ)め下(サ)がり要(イ)らぬ
世間(セケ)な有(ア)ん事(クト)ぬ 何恥(ヌハジ)かさんがや。

ユキ
魔よけ斧
両面に3つ4つの棒線が刻まれているが、この七つ判は魔よけになる。例=病人の枕元に斧を置いて呪言を唱える。「・・・・に障りがあったら七判の斧で切り殺すぞ。」
また、化物(ケンムン)の害を受けたら、左縄で木を括り、呪言を唱え、七つ判ユキを数回木に切り込んで魔を祓う。
俚諺

火事すん時や斧鎌(ユキカマ)先出(イジャ)せ。

ユギリ   脚指の下部の関節部分にできる裂傷。素足で歩くとできる。古く自家製糖の頃、甘蔗(ウギ)の切り株によって裂傷を受けたものである。横切(ユギ)りの意?

ページの先頭へ戻る

ユクイ 休憩
病床につく
ユクイン候得(ソーレ)=お休み下さい。
昼休み(ヒンマユクイ)。長期病床(ナガユクイ)につく。
ユクナジ 欲張り
吝嗇者
欲(ユク)足り、欲(ユク)背負(ハンゲ)いと同義語。
ユゴー 痒い ユゴムン=ふしだらな情交者。身体が痒いことから後者の意にも通用したのか。
ユゴネガサ 食わず芋 ユゴネはユゴイ根の意か。ガサはカサの濁りで、葉が傘状になっている縁語。根茎の芋を食すると喉が痒くなる。そのため長時間煮て毒液を除去して食べたという。葉茎の汁を皮膚につけても痒くなる。
ユサイ 今晩
今夜
民謡

今(ナン)たな待っちゅる正月 今宵(ユサイ)がり正月 今宵(ユサイ)夜(ユ)ぬ節(シケ)や夜(ユ)明け遊(アシ)ば。

ユシクイ 午後 午後(ユシクイ)の茶。午前の茶がおそい場合にも言う。午後(ユシ)の仕事(クイワク)。午後の仕事分量。午前にはシカマと呼びシカマ茶が出る。
ユシュ 余所
他人
ユシュビレ=他人触れ。他人との交際。
俚諺

他村落(ユシュジマ)結婚(ヤームチ) 牛乗(ヌ)い。経済(シュテ)や損(チブ)りり。

この俚諺は当時の世相を反映しており、現代の優性結婚観よりも、経済生活が優先していたことを物語る。この他村落(チュンシマ)思想は吾村落(ワーシマ)思想と対である。
民謡

ユムラ他部落(ユシュジマ)なん愛人(ムゾ)好(クヌ)んで置(ウ)けば
な夜(ユ)ぬ暮(クリ)々や愛女(ムゾ)待ちあぐで。

俚諺
  • 可愛子(カナシグヮ)や他所ね揉(ム)ませ。
  • 肝(キム)高さ他人(ユシュ)に揉(ム)まるん。
ユタ 占者
巫者
ユタ本尊(フゾン)。
ユタブリ=占者狂い。ユタになる過程に精神発狂が認められる場合があり、また、その信仰挙動の異状さにちなんだ語と思う。
ユダ 枝葉(ユダハ)。姻族。末梢。二十三夜の月神祭りに使うシダラの枝葉は、東の方角のものがよいという。
ユダイ
島鋤
大和鋤
ユダイの変遷は畑耕(ハテシキ)ユダイから大和ユダイへと変った。島鋤はフェラ(平)状の鋤の身(シキ ヌ ミ)によって耕起する畑地専用である。大和鋤は鋤の身がやや勾配をもって土を深耕する仕組になっていて田畑兼用である。昭和20年前後に巖甲号と称する文字通り岩石をも砕く鋤が流行した。

ページの先頭へ戻る

ユチリ   茅葺家に使う丸竹のこと。キチ(丸木)を棟木に直角に吊し下げ、その上にユチリを横に並べて綱や葛でゆわえる。ユチリは茅が屋根より落ちるのを防止するために大いに役立つ。
ユッキャイ 寄りかかる
取り掛け
仕初め
仕事始め
食べ始める
 
ユッシ   許すの意。ユルスの訛りか。手放すこと。鳥籠の小鳥を手放す。牛の手綱を手放す。
ユティ 寄って
寄港して
立寄って
 
ユドイ 夜鳥 ユガラの項参照。ユドイの一つに神(カミ)ぬ鳥(ドイ)かあった。神鳥は山地から嶺伝いに海に下りると言われピイピイ鳴きながら数羽から数十羽の群をなして飛び交う。その間は荒々しい挙動をつつしみ、敬虔な気構えで飛び去るのを待ったという。渡鳥の群の移動に神秘性を求めたことにほかならないであろう。
ユトギ 夜伽 病人を慰めるため、親族、友人、知己が集まって伽をする。病状や病人の希望にもよるが、三味線を奏で島唄でユトギをしたものである。転じて長時間の雑談にもトギト言う。
ユトナテ 一昨々年 イチュナテ(一昨年)、クド(去年)の項参照。
ユドテ 口論
喧嘩
言い合い
 
ユナガト 夜長
終夜
夜明けまで
 
ユナジ 汚水溜の溝 心が腐敗している例えにもユナジと言う。

ページの先頭へ戻る

ユナビ 夜業
夜仕事
残業
正月飯米(バンメ)の準備は青年(ネセ)や女童(メーレ)のユビナでした。数人の仲間が摺臼(シルシ)に籾を摺り臼に搗く作業を毎晩続けた。また、芭蕉の糸を操ったりした。青年は正月薪割りのほか、女童の応援、三味線、唄で慰めることも怠らなかった。転じて性交にもユナビと称する。
ユナワァ 夜豚 夜暗に小豚に似た動物が夜道を出歩くことがあった。これが股下を通過すると悪疫にかかるか、寿命が短命になるなどの凶事がくるとの俗信があった。それで両足を組んで通過するのを待ったと言う。
ジンモラ=地回、地上を回転するかのように走り回る。
ユナンサナ 夜中
真夜中
夜(ユナン)最中(サナ)の意か。夜長(ユナガト)に対して限定された時刻のことを言う。
ユヌグラ   ユヌ倉。トー倉。主家のオモテに対して、ユヌグラは炊事場用としての建物(トー倉)。
民謡

暑(アチ)さ名付(チ)けて出(イ)じららぬ時や
ユヌグラぬ下(シュ)から出じて居参(イモ)りよ。

ユネダグ 股瘤
横根瘤
股のつけ根にできる肉腫。下肢の外傷から菌がはいり横根瘤ができて痛み出す。また、性病が原因で痛むこともあると言う。
ユビダ 揺れ田 湿田で地盤が弱く土地が揺れるからであろうか。農耕に牛馬も使用できなく、人の腰部までも土中深く揺れ食い入り、行動も自由にならない。動けば動くほど沈んでいく。水田耕起は幅広(ハビル)の鍬で浅く耕す程度で田植えをする。ユビダの中には木片を投げ入れ揺れを防止する。
ユル 夜昼(ユルンシル)
俚諺
  • 夜(ユル)ぬ家壁(ヤンクビィ)や人(チュ)。
    ※壁に耳あり、他人の悪口は言うな。
  • 夜(ユル)起(ウィリ)きぬ馬鹿(フリムン)、朝寝ぬ(ヒンマネンビ)貧乏。
    ※怠け者は何時かは難儀する。
ユレ 寄れ
集合
部落総会
一地点に寄り集まること。拡声器等の通信敷設がなされていなかった頃、「今日(キュウ)や寄(ユ)れどー皆(ムール)集合(アチマテ)して下(タボレ)さい。」と法螺貝の合図で村落(ムラ)ユレのふれをした。
ユレグチ 寄れ口 多人数集まって人の蔭口を言う。
ユレダタ 寄れ砂糖 数戸が共同で製糖作業をする。個人製糖は多くの人手を要するので、一戸では能率があがらないためユレダタが行なわれた。砂糖(サタ)製造唄(ヤマウタ)は徳之島採集手帖18号に拙稿がある。

ページの先頭へ戻る

ユレダーイュ 寄れ田魚 水稲一期作の刈取りがすむと、田の水は枯れ田魚は水溜(ミジグムイ)りに群れ集まる。田溜りには田魚のほか田螺(タンニャ)や小生物が集まる。田魚とは泥鰌のことでかって山村では田魚は海魚に匹敵する扱いを受けたものである。(酒肴)田魚掬(シキ)いは老女の仕事で、籠(イボロ)を腰にさげて谷から谷へと歩き回る姿が見られたものだが、近年全く跡をたった。
ユロイ 寄り合い
内密の情交
俚諺

悪友(ワルドシ)寄合(ユロ)てか劔刃(カタナバ)逢(オ)い 善友(イドシ)寄合てか 畳表くみゅん。

ユワイ 悪影響
影響
君(ヤ)ユワイ父(アジャ)に怒られた。
ユワイッチュ   良かりっちゅ。身分が高貴な人。官公署の役人。頭脳労働者。主組。部落の要職にある人。概して農家の方から呼ぶ語と思われる。
ユワナテ 一昨々日
先おととい
昨日(キヌ)。今日(キュ)。明日(アチャ)。翌々日(アサッテ)。
アチャアサッテンベカチ=2、3日中、近日中。此の間(クネダ)。
ナンベ=今頃、今辺、今時。
俚諺

明日(アチャ)二十日(ハチカ)。(一日延ばすと二十日程後に遅れる。)の意。

ユンガマラー 喧しい ユンはユで、「より」とか「さらに」とかのように、意味を強める語。ユンハゴード。ユンシキババド。ガマラーは構うの訛りと思う。構い過ぎることと喧しいことに共通する語か。余計(ユン)喧しい。余計に構い過ぎるの、余(ユン)構(ガマ)らしい、は如何か?。
ユンキー 投げ入れる 豚の田舟(トーネ)に飼料(ムン)をユンチ食べさせる。入れる挙動の卑称にも使う。
ユンキタネー 汚れ穢い
極度に汚い
卑称
ユンギュメ   ユン米。玄米。搗米(チャグメ)。玄米(ユンギュメ)・粥飯(カイバン)。引米(シキグメ)粥飯。コメ→クメィ→キュメィ→ギュメィと変移。ユンは意味不詳。
ユンド   ドは己。君自身。汝(ヤ)自身(ユンド)ぬ悪(ワサ)い。卑称。
民謡

今頃(ナンベ)し肝(キム)痛(ヤ)みゅんし己自身(ユンド)ぬ弱点(エワイ)や。

ユンドラ 読む鳥の意か。ユミッタの項参照。
ユンノ 与論
与論島
「与論(ユンノ)輝(テル)る島や 小(イ)にくさやあしが鍋ぬ底(ソコ)中に黄金(ゴク)ぬ溜(タマ)て」と歌われている。
ユンバイ 怠惰
骨惜しみする
勤労を嫌う
怠惰者(ユンバイムン)
俚諺

怠惰者(ユンバイムン)ぬ重荷持(オボネム)ち。

ページの先頭へ戻る

お問い合わせ

所属課室:社会教育課郷土資料館

鹿児島県大島郡徳之島町亀津2918番地

電話番号:0997-82-2908

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

徳之島町 観光情報