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ア行 | カ行 | サ | シ | ス | セ | ソ | タ行 | ナ行 | ハ行 | マ行 | ヤ行 | ラ行 | ワ行 |
島口 | 標準語 | 用例・意味等 | ||
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サ | 竿 | または下の意か。 サウチ=竿打ち。子供の遊び道具の一つ、長さ30cm、径3cm程度の竹や木の棒の先端を石に載せ、別の持ち木でサの先端を軽く叩く、その拍子に後方からすくうように遠方へ投げとばす遊びがあった。ゲームは個人またはグループごとになされ、終戦後もしばらく続いていた。 |
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サァ | 下 足もと |
山手に対して海辺。 カデンサァ=風下。 カデヌウスジ=風上。 サーカゲ=下陰。 草木や建物等の陰で陽の当らないこと。 |
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サァイ | 晴天 | 俚諺
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サカウタ | 逆唄 | 「ハイマトゥシ」(走り馬倒し)、犬神入りなどのように、呪言によって相手に不利な立場に追いこまれたら、逆に詞や唄によって難を避ける。また先手を打って逆唄を称えると霊による災難は免れるという。(詞は採集記録済み。) (祓いの詞)松ぬ切口名、枝ぬ生(ミィ)るなてか、寺々ぬ坊主が頭下げるん。 これに対して「戻しぬ逆唄」貴方(ウイ)が唄や逆唄ですね。根絶(ウミエ)せ絶(キラ)せ戻して差上(ウェーセラ)げます。 |
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サカメ | 境目 | イノチサカメ=命境目。命が絶えるぎりぎりの線。苦労の極限のこと。生きた心地がなく、死ぬ思い。 | ||
サカヤキ | 月代 | 顔面のひげをそること。南島古語。 世間胸算用
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サキ | 崎 岬 |
神之嶺崎、本崎、金見崎、伊仙崎、犬田布岬。崎と岬は同義語。本崎は古く旅の送り迎えの場、かっての旅は一命をかけての出立であったため、旅立ちの神事習俗は多かった。神之嶺崎、犬田布岬は霊地で、他は景勝の地とされる。 民謡
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サギリ | 局部が特に細くなっている義。また、生物の普通発育しないものにもいう。 サギリグヮ=未発育児。 ナシギラ=未発育子。ナシは出産。豚は数頭を出産するが、一頭はきまってサギリグヮが生まれるという。 |
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サク | 谷 | 窪地で谷状に長くなっている地形。 「イバサク」(狭谷)=周囲より一段と低いところ。 民謡
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サクグメ | 粳 | 糯の対。古くからの稲が粳で、谷間に栽培されていたのであろうし、新しくはいった糯は美田に栽培されたからであろうか。谷米の意か。 | ||
サクニン | 作人 | 農業人の称。作男であったことも考えられる。小作者の称を近年になって農業人にもかく呼ぶようになったのか?。 | ||
サクバ | 作場 農作業場 |
サクバグマイ=作場宿り。耕地に居住し農耕に従事する。 | ||
サクリ | 大工用具 | 材に凹状の溝を造ること。 | ||
サグイ | 探る 夜ばい |
男性が夜間に女童の家に秘かに侵入すること。 サグイビ=探り情交。昭和の初めごろまで、この習俗はあったと言う。 呉=うつ人を思ひし妹を夢見て 起きて探るになきぞかなしき。 サグイビのヒについて、古事記上巻2二神の結婚・・・伊邪邦岐命と伊邪邦美命と「美斗能麻具波比」為む。とあり、ミトは御所で、ここでは婚姻の場所、マグハヒは目合から転じて交接の意。であると述べられている。 |
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サケィシー | 焼酎の密造 酒造り |
終戦後から昭和34、5年頃まで密造酒が出回った。焼酎と酒の区別はしにくく表現もまちまちである。 | ||
サケィグレ | 酒食らい 飲ん兵衛 |
酒びたり者。大酒飲みの上に酒癖の悪い者の称。 | ||
サケィムイ | 酒盛 | 酒盛の意。結納の変型。古くは現金を結納として贈らなかった。また、許婚の約束として三合の酒を使って結婚の契りを結んだ。酒盛りが済むと結婚状態に入り、男は女の家に通ってもよかった。理由あって結婚破棄したら女性側は三合瓶の酒を戻すのが常であった。 この外、祝祭、年忌の座での祝い酒を配ることにも酒盛りと称している。新田祝いや年忌祭の宴で、湯呑に焼酎を入れて作業夫や宴客にすすめる。この儀礼は盃の献酬とは意義が多少違っている。親族、知己の者が慶弔の意義を盛り上げるために、家主に酒瓶を献上し、これを配ることにも酒盛という。 |
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サゲシャ | 足下げ | 家の戸口で足を下げた状態で座ること。 ヤテの様にサゲシャして飯を食うな。ヤテは雇いで下人、家人の身分でもないだろうから、足下げのまま食事はするなとの意。教訓の詞といえる。 |
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サゲドグ | 提げ道具 | 煙草入れ道具の意。調身具の別称。 民謡
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サシ | 錠 | 錠前を使う以前は「ムヌキ」(物置・倉庫)の入口の柱に穴を通し、丸太棒の木を打ち込んで錠前代用とした。木に布を巻いて木槌で叩く。戸を開く時は中に打ち落すが、音が高く盗難は防止される。現在もこの装置は見られる。 | ||
サシ | 差し上げる | 重い荷物を頭上に押し上げる。かって「チューサシ」(人指)力ゲームがあった。青年の力試しの一技で、子供の帯を掴み、地面から頭上に押し上げう。回数と重さで等級を争うゲームである。 | ||
サシ | 植物名。裸子植物の一種で、種子が動物や人の衣類に付着する。そして運ばれ他の地点で発芽し芽生える。それで次のように恋唄の詞に例えが見られる。 民謡
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サジマキリ | 正座 | 下座曲の意であろうか。厳しゅくな座席での座法。 アグンジャイリ=膝頭を曲げて雑に座ること。男の座り方。 アブミザイリ=鐙座座り。鞍に座す姿勢から来た語か不明。 |
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サタ | 砂糖 | 慶長15年、大和村の直川智が中国から甘しゃの苗3本を衣類箱の二重底に秘かに持ち帰り、大和村戸田字磯平に植付けた。これが大島製糖の創始であり、日本の糖業の元祖である。奄美郷土研究会報第8号に所崎平氏の稿「糖業創始・慶長年間説への疑問」が発表されており、深い感銘を与える論文とされている。 サタシ=製糖 サタダムン=砂糖薪 サタヤドイ=砂糖小屋 サタヤドイグマイ=砂糖小屋住まい サタヌギ=型砂糖 サタバンシン=砂糖煮芋 サタタキ=砂糖炊き サタアキネ=砂糖商売 サタシミチリユェー=製糖終了祝い。2、3ヶ月間砂糖小屋住まいで製糖に従事し、終了すると盛大な祝いをした。 |
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サタシー | シーはするの意。製糖。旧式の圧搾器は、木口車、金物車、鉄輪車と改良された。圧搾器で蔗茎を絞り汁を砂糖鍋で煮つめて黒糖を製造した。鍋は丸鍋、角鍋、長鍋と変移した。 | |||
サタヤマ | 砂糖山 | 製糖作業の場所。ヤマは山の意ではなく、量の多いこと即ち砂糖場のこと。 ドルヤマ=泥道の称 サタヤマアケ=製糖場垢 サタヤマのエピソードも多い。 徳之島民謡傑作集「うっしょ原風」に見られるように、小屋住まいの美人の評(恋物語り)や、製糖作業を嫌う幼な心、手を打って喜ぶ娘子はよいとしても、父古仲徳さんの胸中の痛さがわかるような気がする。 |
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サックリ | 咳 | シャックリの転訛。 「ギッチ」、「ギッチャ」とも言う。ギと音声が出るので斯く言うのか、注意の急激な転向、または呼吸を長く深く持続すると自然に収まる。横隔膜の生理作用が原因という。 |
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サッコ | 雑然と 無格好な扱い方 |
サッコマッコ=滅茶苦茶 | ||
サデッポゥ | 竹製の紙玉鉄砲。「サ」の意義不明。 | |||
サト | 里 里親 里部落 里帰り |
男の愛人を女側から呼ぶ語。 民謡
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サドイ | 探り | 暗夜を手足で探りながら歩く。サグリと縁語科。 ユヤンサドテ=暗闇を手足を頼りにすること。燈明器具の皆無時代は、農耕帰り等の夜道の探り歩きがよくあった。 古
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サナギ | 褌 | チリサナギ=釣褌。チリザンとも言う。 十三サナギ=13才の成人を祝う褌。以後一人前の扱いを受け、労働、結婚でも地位が認められたと言う。三角サナギと称して女性専用の下着が明治末期まであった。明治、大正の頃、猿股の流行と並んで普及し、腰巻とは使用の別によって着替えた。上流家庭の者はシタムン、クシマキを百姓の従事は三角サナギを着用した。蟹の腹部をおう三角状の甲羅にもサナギという。産卵の部分にあたる生殖器を陰す意からか、形からきたのか不明(米田考察:サ(下)ナ(の?)ギ(衣))。また、牛馬の鞍を固定する為、尻に掛けるシンギャに通す縄にもサナギという。猿股やパンツの別称でもある。 |
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サバ | 草履 | 藁草履、アダナシ草履、蘭草履等サバの原料は幅ひろく使用した。 民謡
サバウッカン=扁平な頭。平べったい頭の形。 |
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サバクイ | 裁く 捌く |
事件の処理をする。日常の面倒をみる。サバクイが多い。 金サバクイ=金の工面をする チュンサバクイ=他人捌り サバクイベン=裁き部 |
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サバケテ | 弁舌 | サバケムン=弁舌家。敏腕家。作業能率があがること。「手八丁、口八丁」と弁舌、実行型の諺がある。「アバサ」魚の方名、無責任で一方的にしゃべる者の称。 | ||
サバネ | くり舟 独木船 |
釘を使わないで建造した漁船。現在徳之島ではサバネ建造はされていない。亀津、母間で造っている舟は、サバネと板付船の中間型、アイノコ型と言われ、両者の特長が取り入れられた型式である。 アイノコ型はソコイタに数枚のハライタ(腹板)をフンルーという臼状の木釘と竹釘を用いるので、刳舟ともいう。沖縄から持ってきた刳舟は昭和45年8月現在、徳之島に5隻あった。アイノコ舟の寿命はせいぜい14、5年、サバネは30年も保つといわれ、他の面でも秀れている。 |
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サマ | 覚す | 常面の意。酔っていない時の顔。 | ||
サマシ | 冷す | 熱い物を冷す。熱をサマス。 俚諺
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サムレ | 侍 武士 |
サムライの転諺。 島の口説
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サメィ | 皮膚病 疥癬 |
サメタリムン=疥癬病者 「ゴショマ」とも言うが、皮膚がゴソゴソしている称。また、梅毒、痳病の性病にもゴショマと言う。古く医学、衛生面が届かずサメの病人は後を絶たなかった。現在は全く見られない。 |
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サンゴゥ | 三合 馬鹿者 |
能力の不足している者。 サンゴー=酒三合の意。 トジカメイ=刀自もらい。トジムロイには三合瓶が必要で逢った。今日のように数十万円もの結納金は全く不要で逢った。マックヮバク(秋箱)とシチ(木箱)を持参する嫁はよい方で、無一文の着たままで嫁にいくのが普通だった。(明治の頃) 民謡
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サンシル | 三味線 蛇皮線 |
三味線は今からおよそ5百5、60年程前、察度王の頃、津堅島の詩人であり音楽家であったアカインコがオモロや琉歌を三味線で弾いたという。西南アジアから中国を経て琉球に、そして本土へは後陽成天皇の文禄年間に石村検校が京に伝えたとの記録がある。 民謡
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サンジャリ | サンジャリムン=嫌いな悪い者、邪魔者。 ジャリは邪か。相手を悪くいう場合に使う。卑称。 |
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サンジョウ | 算定 計算 |
ネジミサンジョウ=鼠計算 ナーサンジョウ=計算のみ先になって実がともなわないこと。 |
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サンヂキャ | 伸ヂキャ、ヂキャの意不明。寝床からとび起きて無意識に走り出し足り、夜泣きしたり、独り言を話したりすること。 治療法として、釜蓋を被せる。釜蓋(カマッタ)のチケ(茅)を着物に刺す。冷水を足に掛ける。毛布を被せてやる。雨戸を締めて寝る。鍋座(シケ)に座席させ釜蓋を被せる。七軒から米を集めて御飯飼(ウバゲ)を炊いて食べさせる。 ※全集落ともカマッタを被せることは共通している。 |
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サントキ | 申時 | 夕刻4時、5時頃のこと。サントキ生まれの赤子は不運であるとの信仰から、果報を招来するには釜蓋を頭に被るとよいとの伝えがある。熱釜蓋は呪力が大であると信じて無理に被らせたという。この信仰は島の全部落に根強く分布している。 サントキの機織の織切りも縁起が悪いとしてその頃を避けた。申時を忌避する理由は、陽が沈む弱性の縁から来たものと思う。満潮に至る時刻を良縁と考えることに由来している。 サントキテダ=申時太陽は見てはいけない。 民謡
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サンビャ | 足の下部 扁平部分 足の裏の部分 |
サンビャはサンビラ(下平)の転訛か。サンビャブッタ=下平太。足の下扁平部分の広い称。また、牛馬の鞍道具の一部で、直接牛馬の背にあたる部分に敷く者。藁、棕櫚(しゅろ)、布製がある。女性の正装(御太鼓)の際に背部に使う広い帯締にもサンビャの悪名をつけて呼ぶ。家畜のサンビャを人体に触れると、クッシャバ(水虫)という皮膚病にかかるという。 | ||
サンメナベ | 大きな鍋 | 三枚鍋の転訛か。 | ||
サンビョウ | 癩病 | サンの意不明。クジッキャともいう。乞食の転訛。癩病患者が物乞をしたことから、クジッキャとよんだであろう。 癩病者でない乞人にはサンビョウとは呼ばない。 |
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