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島口 | 標準語 | 用例・意味等 | ||
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フ | 報 果報 |
フヌアテ=果報が廻ってきた。 フヌチッチ=果報がついて。神の授けの運に恵まれて。 フヌキリテ=果報の縁に恵まれない。 フガナシ=果報加那支 |
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ブ | 賦 | 夫役の意。率の意に解される場合もある。 徳之島轟木部落の古記録(明治43年以降現在まで)によると、「一部落区費賦課に関する件、賦課籾400斤管理人に納入別に予算を立てる。」とある。 |
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フイ | 振る | クサフイ=疝病で身体がふるえる。風土病のマラリヤは高熱をだす。 | ||
フイ | 粺 | 水稲の成育に邪魔になる雑草。大昔は食料であった。 フイカガイ=苗床用の水田や種子用籾の水田で、稗を探して引き抜くこと。苗のときは稗と米の判別は難しい。 |
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フイ | ふるい | 穴目の細かい節。搗米から糠を選別する際に使う器具。 | ||
フイチャ | 振茶 | 茶を飲む時に泡立たせる。チャーウィ(茶桶)に湯茶を入れてチャセン(茶振)で振る。数分間撹拌すると、湯水は冷えて泡立つ。老女や有閑人が広くたしなんだ。今日ほとんどフイチャは見られない。徳之島採集手帖No3〔31〕のフイチャの記録参照。 | ||
フゥアザ | 曾曽父 祖父 |
フゥアマ=曾曽母、祖母。と部落によって異なる。 | ||
フゥキ | 鞴 ふいご |
鋳掛屋が鞴を担いで鍋や鍬の修繕に回った。ナビィンクー(鍋の穴塞ぎ)と道の辻々で叫び、道路で鋳掛業をした風情は終戦前後の頃まで見かけた。金山神(鍛冶神)の祭地には、フゥキの残骸や鉄の台があってかっての金山神の信仰が今日に受けつがれている。 | ||
フゥギ | 容姿 評判 調子 |
風儀の意か。 | ||
フゥゴ | 大川 | フゥイュ=大魚 フッチュ=大人 フゥは大きい。ゴはコで川の意。 コントゥ=川当、川原。亀津大瀬川の下流(現在の総合バス事務所の北隣り付近)のコントゥは罪人を野ざらしにして一般人に見物をさせた。(薩藩時代) |
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フゥミチ | 大道 大径路 |
民謡
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フゥワタ | 大腸 | フゥは大きい。ワタは腹や腸の事。正月用豚を屠殺したら大腸小腸の糞を除き、洗って煮て食用にする。 | ||
フェイ | 大きい 太い 高い |
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フェイ | 酒粕 絞り粕 |
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フェーサ | 数日前のこと。過日の意にも取れる。 早(フェ)さの意味か。貴方(ウイ)フェーサグヮ(愛称)大和から戻(ムド)って来(ケ)てや。 |
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フェーシ | 囃子 | 歌い手と一緒に歌うことで、次の詞がすぐ出せるように導く役目をもっている。 | ||
フェンゴ | 鍋煤 | 煤を赤子の額に∴状につける。火神の霊力にあやかる神事と言えよう。これに犬の子(インヌクヮ)と称する。犬は出産成育が順調にいくため犬にあやかったものと考えられる。 | ||
フカ | 肺 | 肺の肉の形質からフカと呼ぶのか判明しない。 | ||
フガシ | 突通す 穿つ |
ミィフガシ=穴をとおす。無駄金を使うこと。 チコイフガチ=金を使いつぶす。借金して使うこと。 |
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フキ | 崖 | 渕の転で崖上の渕のことか。ハンタキと同義語。 フキカチ トンジ モイシ=崖から飛びおりて死んだ。 |
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フキャゲ | 吹上げ | 波を吹き上げる。泡を吹き上げて。 ナベヌ フキャゲテ=飯鍋の湯水が蓋を吹き上げて。 |
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フキョシ | 吹き寄せる 吹き散らす |
とかく風が吹くこと。 | ||
ブギン | 富貴 富限 分限(ブンゲン) |
ブギンシャドン=富限者殿。土地や金をたくさん持っている者。 世間胸算用
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ブク | 泡 水泡 |
濁流の泡を手足の皮膚につけると、クジマ(疣)ができると伝えている。 | ||
フグイ | 睾丸 陰のう |
フグイトリ=去勢 ウヮンフグイトイ=豚の去勢師。各家庭を巡回して去勢を専門にする人がいた。戦後もしばらくいたが現在全く見かけない。切開した傷口には鍋煤をつけた。肉離れがはやく接着するように望んでいる。 |
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フクラシャ | 誇らしい 嬉しい |
民謡
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フケィリ | 目白が威勢よく連続して鳴く。勢いよく鳴く。 人間が間断なくシャベルことにもフケィトワヤーと用いる。 |
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フケィリ | 間引く | 野菜が密に生えているため、あちこちからフケィテと言う。密を疎にすること。 | ||
フシブシト | うすうすと 長間隔 |
植え付けの間隔を長くすること。 民謡
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フジャ | 蝉の幼虫の方名。 フジャクレバンシン=虫食い蕃薯。甘藷の表皮や肉質部を食べられると、香、味ともに低下し食用に向かなくなる。アリモドキの被害。 民謡
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フジョ | 不浄(忌) | アカフジョ=月経。亀津南区共木屋原の賜り田は赤フジョの者は作業を忌まねばならない。 フジョカテ=不浄に合う。悪霊の祟りで災禍を受ける。 |
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フス | 臍 | フスブイも同じ。 フスブッタ=臍太。出臍。 フスチギ=臍結び。古く呪者や老女がフスを切った。長さは指で測定して切り、芭蕉の緒で括ったが失敗が多かったという。出臍の原因の一つ。 俚諺
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ブタグヮ | 双児 | フタグヮ、フタゴと通ずる。 古
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フチ | 犬を操る詞。フチフチと極度に操ると、犬は大声を出して悪戯をする。 | |||
フチ | 蓬 | フチムチ=蓬餅。旧三月三日に蓬餅をつくる。フチダグ(蓬団子)も同じ意味。 | ||
フチ | お灸の焼蓬。古く自家用の焼蓬として蓬を使っていたと伝える。艾(モグサ)にもフチと呼ぶ。 | |||
フチク | 懐 | テフチク=手懐、手を懐に入れる(保温の手段として)。 ウヤフチク=親懐。親の懐に抱かれる。 民謡
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フチモイ | 燻る | フチは蓬、モイは燃え。乾燥蓬を灸に使ったので燻った。実際は枯れていない葉柴(ハジャ)や、濡れた薪を燃すと燻ってよく燃えない。煙を巻き上げている様子のこと。 | ||
フックィリ | 脹れる | 大豆や米を水に漬けたら脹れる。機嫌が悪いときの脹れ(フックイ)顔(ヂラ)はみっともない。 | ||
フッシュ | 主人 祖父(伊仙地区) |
主(シュウ)、大主(フッシュウ)と一家の主人の尊称。 民謡
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フッタギン | 二衣 | 太衣の意か。袷のこと。冬には裏付きのフッタギンを着た。現在の衣生活とは全く趣が異なり、袷は滅多に恵まれなかった。単衣(ヒトエ)にはチラギンと呼び、それで冬でも辛抱しなければならなかった。 | ||
フッチュ | 大人 | 大きい人の義。一人前。幼児の成長ぶりにもフッチュなったと言う。成育の段階にも言う。 フッチュブリ=大人振り。 |
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フテグト | 小言 | 長上に対して口答えする。 フテグト ヤンミインベンー=小言を家の一杯程しゃべって。 |
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フデテ | 成長する。太る。大きくなる。生長する。 | |||
フディリ | 筆入れ | 明治の頃は石板、石筆が唯一の学用品で、筆入れ用具の必要はなかった。 | ||
フデリ | 雷 いなびかり |
ウデイとも言う。 | ||
フトケィン | 仏 仏加那支 |
加那支は尊称。テラの項参照。 | ||
フトムン | 太者 度胸太者 横着者 |
フトローヌ=大胆、豪胆。 | ||
フトン | 布団 | ウードは方名。ウードと言えば普通破り布団のことである。従って敷布団が使用されるようになったのはさほど古くない。蒲団の意からして、かっては草で編んだものが、やがて朝鮮叺の袋製に変わり綿入りに改められたと考えられる。明治初年には叺蒲団を着て寒さをしのいだと聞く。 | ||
フドキ | 織具 | 布を貫く器具。筵を織る器具。天羽衣伝説・天ち天降り女の話で、「昇天してきた父にフドキを差し出し救おうとしたら、感違いしてつかまずに大水に流されて死んだ。」と聞いた。 | ||
フナギ | 舟木 | 造船材料の木や板。フナギを屋敷内に入れると、寄り木の神の祟りがあるという。呪者の占いにフナギの災禍がとりあげられるからである。 | ||
フニ | 屋敷の俗称。展望のきく高台近くの地形・船の往来を監視した所。薩藩時代の砂糖政策は厳しく役人の往来を気にしたのでフニ屋敷で監視した。別の説では、部落の起点すなわちフンムト(本元)、また、支配者の居住地点であるとも言う。(前項は尾母の例) | |||
フネィ | フネ 骨 |
フネイテ=骨折って、苦労。 フネヤシミ=骨休み。休息。 |
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フネガミ | 船神 | フナダマ。正月二日に船祝(フネユェ)いと称して船神を祀る。松、塩、料理、神酒を帆柱の支持板や、セキと呼ぶ張板に供えて、祭詞を唱え海上安泰、豊漁祈願する。徳之島町誌・年中行事の項に記事がある。(拙稿)古くの帆船は積荷の限界と、天候に左右されたため、事故はつきものであった。 俚諺
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フヒート | 海豚 いるか |
フヒートヌ センチルギ=海豚の千続き。先頭に従う習性があり、次々港に入ったり、海浜に泳ぎ上がったりする。昭和15年頃南原にて数10匹捕獲されたことがある。 | ||
フミィチ | むし暑い 酷暑 |
フミィキュンゲシ ナレタガ=暑くなり出したですね。 | ||
フヤ | ランプの硝子筒 | |||
フラ | 馬鹿 阿呆 |
汝(ヤ)馬鹿者(フラムン)ぬ何処に行(イキュンガ)くのか。相手の卑称。 | ||
ブラ | 法螺貝 | 昭和10年頃まで部落常会などの集会通知にブラを鳴らした。今日は(キュウヤ)村常会(ムラユレ)どー。と道の辻々で叫びながら法螺貝をふいた。 | ||
ブラ | 泡 あわ |
水の泡。外傷のかぶれ。また砂糖汁の煮つまり程度によって小泡(クヮブラ)、大泡(フーブラ)と稱して、タギル過程があった。大泡(フーブラ)打っち今(オー)すぐ汲(ク)まるい。との用語が使われた。 | ||
ブラインゲ | 薊 あざみ |
インゲは刺の義。 | ||
フリムン | 狂者 気触 |
相手の卑称。神経病者みたいな者。 俚諺
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ブリ | 不礼 | 礼儀を失する。昨日は(キヌヤ)本当(フント)ブリでした(アレテ)。 | ||
フル | 葫 にんにく |
フルンガブ=葫の球根。 浜下りのミイックヮヌ シュカイ(新子の潮掛り)に行く時、子供の首に葫を2、3個吊して行く。また、命名式のとき”クヮトンジラシ”(子の歩き始め)も道先案内の者が葫を持つ。強靭な香に縁起を求めたのだろうか。他に意義があるのか判明しない。 |
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フルシキ | 風呂敷 | ウチクイの名で親しまれた。明治、大正の頃本土への旅には風呂敷包みの荷物を持ってでかけた。学用品を包んで肩に掛けて登校した姿は昭和14年頃にもよく見受けられた。ウチクイは珍絹からきた詞といわれ、祝女が頭に被って神事をした絹布の縁語である。 | ||
ブレキデク | ブリキ細工 | 本土のブリキ商品が移入される以前は”ブリキデク”は重宝な職業の一つであった。移入後は悪評の例に使われたが、それは、「チッキデーク」(叩き細工)と称して、労を嫌う者の仕事であるときめつける考えがあったからである。 | ||
ブレブシ | 群星 | ブレは群、ブシは星の意。 民謡
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フロ | ささげ 三尺ささげ 大角豆 |
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ブン | 盆 お盆 |
湯呑をのせる器具。 | ||
ブン | 盆 | 12日まで墓地を清掃し白砂で清める。13日夕方先祖の霊を迎えてきて、14日は家で祀る。15日は送る。3日間は先祖棚の前に屏風か衝立を立て静かにし、三度の食事のほか供え物をする。 亀津では13日にボタ餅、14日に鯨(グンジャ)餅(白黒餅)、昼は冷素麺、15日は小団子、白餅を備える。 手々部落では15日に餅貰いがある。先祖が墓に持ち帰る土産だという。 井之川では墓前で酒宴があり新盆の時は親族が墓前に集まり盛大にする。霊前の箸は萩か藁の芯で作って供える。3日間は”ミジガシラ”(唐苗芋を薄く切った物)を高膳に乗せて供え、送りにあたっては門口に捨てる。 手々では門口で藁を燃やして霊を送る。 |
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ブングチ | 盆の前後の台風、また風波が強いことにもいう。グチはクチで、クチヌカデとは、 の方位から吹く風 クチは方位を示し、この季節は 方位の風が吹く荒す。 |
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フンデ | 勝手 | フンデムン=身勝手な者。「一番弟子(ウトグヮ)なて自由(シキュンガネシ)にフンデさせている。」 | ||
フンチャゲ | 吹き上げ | フンチャゲアラビェ=吹上げ荒風、長雨の後に南風が強くふき岩に波しぶきを上げる天候のこと。 民謡
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フンニ | 糯米 | 本稲(フンニ)の意か。親種とも言われる所から、従来の栽培法を改め、フンニが稲作の中心に変わったと判断される。フンニの種漬にはムチムレ儀礼が行なわれる。 道之島代官記集成によると「九月種子下シ・日柄ヲ選ビ稲ノ種子ヲ下シ、其祝トシテ煮餅・力シキ餅ノ二種ヲ造リ、二日間男女一団トナリ戸毎ニ廻リテ餅貰ヲナス。」とある。糞便汁につけ一夜おいて本田に定植した。最初枯れ葉の状態に一度なるが、節分以後になると急に生気を取り戻して繁茂し、成績の上々だったと言う。フンニに関する拙論「奄美郷土研究会報第11号・徳之島のムチムレ行事-面縄での聞き書き」がある。 |
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フンバテ | 荒地 草生地 |
田畑が荒れて草生地になった地。牛馬の鼻綱を長くしてつなぎ、草を食べさせる好適の地。 | ||
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