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ア行 | カ行 | サ行 | タ行 | ナ行 | ハ行 | マ | ミ | ム | メ | モ | ヤ行 | ラ行 | ワ行 |
島口 | 標準語 | 用例・意味等 | |||
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マァ | 馬 | マァウシ=馬牛。畜生。 マァウシンバテチムン=牛馬の如くに汚れ、そして労働が激しいこと。 マァトーシ=馬倒し(ハヤマトーシ参照) 俚諺
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マァアイ | 美味である おいしい |
「此(ク)の甘藷(ハンシン)の(ヌ)美味(マァド)なこと、何も副食も(メン バ カテラング)なく 満腹する迄(ワタンミ カ マ)食(ルイ)べられる。」 | |||
マァチブル | 白瓜 | ナガチブル(長瓜)とも言う。円型のには”マルマァチブル”と呼び、水汲み、砂糖汲み上げ、お粥汲みなどの柄杓に使用した。 | |||
マァムチ | 真餅 糯米の白餅 |
真餅の対に甘藷(ハンシン)餅、黍(キミ)餅、椎餅等があり、糯米の餅に真餅と称したのか。 このほか砂糖餅、ソーダ餅、鯨餅、油餅、揚げ餅など製法の種類も多い。餅は祝祭行事に欠くことのできない供え物とされ、餅の民俗は興味深く意義深い。米の霊力に由来しているのであろう。 |
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マァラチ | 出産した 生まれた でかした 仕事の完成 |
男子の子(インガ ヌックヮ)を 容易(ヤシアグヮ)に出産(マァラチ)した。 マァリドシ(豊年) マァリ稲加那支、加那支は尊称。 民謡
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マーラン | 帆船 山原船 |
機械の設備がなかった頃、帆で走った船のことで特に沖縄や鳥島間の航海に役立った。 | |||
マァリジマ | 生まれた島 故郷 郷里 |
従来のシマは島ではなく、字や村落をさしている。柳田国男氏の指摘の通りである。 | |||
マァリゴ | 生まれた号 出生届 |
明治時代には出生届を故意におくらし、徴兵検査、戸籍割税(人頭税)の対象からのがれたとのこと。ひどい者は数年も出生届がないうえに、親や先祖の名前を襲名する習俗があって、出生や死亡届の混同があったとのことである。 | |||
マイ | 尻 臀 |
鞠及び椀=円い縁語。 臀部の丸み、糞をマルカ。 古事記に「屎(クソ)麻理(マリ)散(チ)らしき。其の美人の大便為(マ)れる時、丹塗(ニヌリ)矢に化俚て、其大便(クソ)為(マ)れる溝より流れ下りて、其の美人の富登(ホト)を。」とある。 マイムデテ=尻をふりふり歩く。動作の鈍い者の卑称。 マイゴゥ=尻布。襁褓(むつき)。おしめ、おむつのこと。 マイは尻でゴゥは布地。臀部にあてる布地。 インニャゴ=糞布。大便布。古くおしめかばはなく、破れ布を紐で括りつけて幼児の大便を受けていた。 マイブッタ=尻太。 マイガロ=尻軽、気軽に立ち働く。 マイマガッテ=尻交接、転じて馬鹿にされた。 |
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マイ | 後方 最後 |
これから先の世の中。 マイムドイ=後戻り マイカチベェンナテ=後に回されて。能率があがらないばかりに幸運に恵まれない。 |
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マガァ | 孫 | クヮマガ=子孫 マガワレ=孫童、孫のこと。 |
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マガァ | 馬鍬 | 代掻に使う農具。 マガシ=代掻き作業をする。 シママガ=島馬鍬。自家用に作ったもので前後に倒れるので牛馬が驚いて暴走し怪我をよくした。 ヤマトマガ=大和鍬。は倒れないので作業は容易にできた。 |
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マキィ | 額 | マキヌキョチ=闘牛が角を交えて戦闘を開始した。赤子のマキに媒(シン)を∴状に付け、犬(イン)ぬ子(クヮ)と称する。火の神の呪力に肖って赤子の成長を祈願する神事である。近年は殆んど見られないが、かって命名式の日や、歩き始めの日に多くなされたものである。 | |||
マキギャハン | 巻脚絆 | 戦前の兵隊の軍装には巻脚絆は欠かせなかった。 | |||
マキシッカヂ | 意地の強い強情者。負けず嫌い。 カヂゲテ=物品の横領。払い分を着服する。 イキカヂ=最強情者。カジ(方名)と称する植物の縁語か。生皮を水中に漬け、表皮を除き白くて強い繊維をとる。 カジ木=樫。木質部が固く木炭の材として活用される。 |
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マキボン | 回り棒 | 旧砂糖圧搾車の軸を回す丸木のこと。これに杆梁(カンリョウ)と称し牛馬にこれを回転させて圧搾する。マキボンの先端にビビャを固定し、引縄(シキニョ)二本で引く。 | |||
マギ | 交尾 | ホママギ=交尾する。ホーマの項参照のこと。 | |||
マギャ | 真茅 ちがや |
釜蓋(カマッタ)、蒸籠、芧甕(ギャガメ)などを編む材料のほか、畳裏、茅葺、結縄などに幅広く利用された。トゥジキの項に詳記あり。 | |||
マギリ | 間切 | 明治年間までの行政区画。全島を面縄間切、東間切、西目間切に分け、間切の下に噯と村を置いた。明治41年島嶼町村制を実施、3村42ヶ字となった。 | |||
マクイ | 食う 上手そうに食うこと |
馬(ウ)喰い、真(マ)喰いの表記はいかがだろうか。残さず食った。 | |||
マクル | 真黒 真黒牛 |
轟木部落の田植唄の一節には、他部落にみられない呪術的な詞が歌われていて興味深い。 民謡
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マグテ | 曲って うずくまって 縮まる |
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マグミ | 間組 仲間 組合 頼母子講 共同作業 |
マグミの組織で自家用の牛豚を屠殺して分け合う制度があった。転じて供食に参加することにもいう。明治の中頃まで、部落行事(シキュマ等)には、牛一頭を屠してその肉を分け、各家では食べてまた重に入れて部落広場に集まって酒宴を開いた。動物供養の一つであったと言える。 | |||
マグメィ | 真米 美味米 |
マはマァイの義で美味。 民謡
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マサテ | 勝て 優て 増て 重ねて |
民謡
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マシ | 田 | 田を数える単位。 フーマシ=広い田 マシダ=小田、狭い田の称。マシは枡の源義。 |
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マシン | 肉 赤肉 |
シシは肉の意。猪にも通称シシと呼ぶ。マシシのマは真で、真肉すなわち赤肉の意と解してみた。 ハシシ=歯肉、歯根肉。 |
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マジ | 先ず 一体全体 |
現在はほとんど死語にひとしいが、マズの訛りと言えようか。苛酷な仕打ちの場合によく使われ、「マジマジ クリ ディンワロヌ シィムンジャロカ クッテビクシュ メィメィシンジ サバクテニャンバ」(一体この仕草はどの悪童がしたのか、今度こそ徹底的に調べてみるぞ。) | |||
マジグヤ | 蜥蝪 | 草生地にいる緑色のと、土穴にすむ茶色の種類とがよく見られる。前者は動作が鈍く小躯で、後者は機敏で体躯もやや大きい。 | |||
マジムン | 魔地物 地物 毒蛇 |
マジュン、ナガムシ、ナガムンとも呼ぶ。徳之島事情には「飯匙倩」とある。毒蛇は琉球国王が島津藩主に貢献物として輸送中、台風のため枝手久島に金網もろとも打ち上げられ、奄美大島、徳之島に広がったとの説を聞いたことがある。徳之島郷土研究会報No5松山光秀氏の「ハブ咬傷にまつわる俗信とその民間療法」の論文があり、大いに参考となる。 | |||
マタ | 又 股 |
転じて谷の意にもなる。大正の頃まで「夜豚(ユナウヮ)」(夜の魔物)という豚に似た小動物が夜間出あるくのがよくみえた。これが股を通り抜けると死を招くとの伝えから、その場に股を閉じて立ち通過するのを待ったという。また、西股(ネシマタ)、南股(ハイマタ。谷)のように谷間を呼んでいる。地名にも「犬田俣、穂堂俣」等みられる。 | |||
マタグラ | 股生 両股の間 |
甘蔗の蔗茎から出る芽のことで、蔗茎が成熟した頃に茎の先端部分から生える。牛馬の草として利用される。 | |||
マタマガ | 曾孫 | ||||
マタバシ | 又内 股根 |
脚のつけねの内側の意。 マタバシコゥヤク=内股膏薬、日和見の称。 |
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マタベ | 再生 | マタバエの義で、収穫後に再度はえ実のる作物。特に水稲にマタベと言う。他の作物には”クルメィ”と呼ぶことが多い。水稲二期作の普及以前はマタベの籾は貴重に扱われた。 | |||
マタンコ | 真丹向 真向い 真正面 |
タンコウの地名は通称地名や記録地名とも各地に認められる。尾母の通称タンコウは、地形的に山手には”山方(ポウ)”(集会場・拝地)が、反対側は”御頂(ウスジ)”(部落行事の祭地)があって、両地名にはさまれた地点にある。何れの地点が中心であったかは古老からも聞き出せないが、筆者の考えでは、地形的条件、習俗的な面の何れかに関連した地名と思われる。 | |||
マチィ | 火 | マチメーシ=火燃し、語源は松明か。古く灯油がなかった頃、松の木片にアーシと称して燃やしていた。また、皿に豚脂を入れ、芯を出して照明用に燃やした。 マチダネ=火種 チキギ=付木(マッチ) |
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マチジバ | 松柴 松葉の薪 |
砂糖釜や芋の煮炊きにはきまってマチジバを燃やした。青松柴を燃やすと青白い煙を出して燻る。その様子は当時の暮らしを想起するのに十分である。 | |||
マチブイ | 絡み付く | 牛馬の鼻綱が脚や木に絡みつくこと。また、糸が乱れている様子にも言う。障害物に言う場合もあり、手足に纏い付いて自由にならない状況にも”マチブイ”と言う。 | |||
マチリダ | 祭田 | 祝女が祝祭を行なう田のこと。また、一般の農家でも田植え始めに取水地点や湧き水地点、あるいは特定の水田で神事をする。通称これらの田地に祭田と呼んでいる。この祝祭を怠ると凶年になると信じられてきた。マチリダ信仰とソゥジ(水神)信仰とは、もともと同類であったと思われる。 | |||
マックヮ | 枕 | マックヮバク=枕箱。明治の世の嫁入り道具の一つで、縦横30cm、高さ17cm程の方形の木箱である。引出しには調髪用具や貴重品を保管した。琉球朱塗の枕箱は滅多に見られなくなった。 | |||
マックヮバン | 枕飯 枕元の飯 |
死者の入棺以前に別れの食事を供える。その祭箸を飯に突き立てる習俗がある。しかし現世においてはこの箸立て習俗は禁忌とされている。死者には晴着を着せ、枕元に飯を供え最後の食べ納め形式をとることからこの称が付けられたのか。 | |||
マッテブ | 蛇 赤蛇 |
無毒の蛇で赤色をしているところから、”アーマッテブ”(赤蛇)と呼ぶ。赤蛇は骨が柔らかく毒蛇をまき殺すとの俗信から、これを捕殺しない。唾を三回かけて逃がしてやる。 | |||
マトモ | 真船尾 | トモは船尾。追風。船尾に追風が当る。 | |||
マドゥ | 暇 ひま |
人を雇用する場面の一例(挨拶用語) 貴方(ウイ) 明日(アチャ) 暇(マド)んきゃ有(ア)んくとあれらんせ、結(ユイ)さって給(タボイ)なれらんせ。 |
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マドゥシ | 弁償 つぐなう |
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マドチ | 浪費する | 暇マドチ如何(イキャン)しゅんが。 | |||
マナチャ | 俎板 まないた |
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マネマネ | 折々 時々 |
間に間にの訛りか。マネカテも同義語。 マネマネ遊びに来てくれよ。 |
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マァハラシミチ | 馬走道 馬の調練道 |
伊仙町喜念上原と、伊仙上原の間にの山道。上面縄の按司屋敷(拝頂(ウガンウスジ))に縁があり、馬の調練場であったという。 | |||
マブイ | 亡霊 霊魂 たましい |
イキマブイ=生霊、他界に近い人の霊が見えたら余命は短いと言う。生霊は家から墓地に青白い光を引きながら飛ぶといわれ、現世から後世への橋渡しとも言える。 マブイグメ=霊魂込め。葬具の一つで白紙で提灯型に造る。亡霊を中に込める意という。 |
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マブテ | 守って 見守って 守護 |
ヤンマブイ=留守番 民謡
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ママグヮ | 異腹の兄弟姉妹。 ママアマ=継母。マンマグヮの項参照。 ママグヮユゥエ=夜分遅い夕食のこと。 |
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ママメ | 小豆 | ||||
マメィ | 腎臓 | 豆の形状からの称か。 | |||
マモロ | 周り 周囲 |
マモロヤ=小建築の家屋。終戦直後の頃まで、ヤワイヤ(新婚の分家)はマモロヤが多く板壁はごく一部で草壁が多く竹の床を編み、筵を敷いてあった。 民謡
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マヤ | 猫 | ニャウ、ミャウとも呼ぶ。 民謡
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マヤガル | 舞い上がる | 民謡
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マラ | 男陽 陽物 |
「魔羅(マラ)」は「修道のさまたげとなるもの」魔に同じ。男のかくしどころ、男根、もと僧家の隠語。(大漢和辞典・諸橋轍次著)とあり、僧侶の語である。 | |||
マルキ | 束ねる 括る |
束の単位。一(チュ)マルキ=一束。 民謡 汝(ヤッ)きゃや与人(ユヒト)ぬ子(クヮ)んきゃ ちりめん帯(キュビ)ひきまわち 吾等(ワッキャ)や百姓の子(クヮ)藁マルキ引マワち。 チマルキ カラゲテ=着物やズボンの裾をまくりあげること。 |
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マワイ | 周囲 巡視 |
サクマワイ=作場回り。農耕儀礼の一つ「虫祓い」(ムシアシビ)の日、早朝に田畑を回ってシメをさす。シメとは唐茅(ジキ)の葉を丸めて地面に突刺すこと。注連縄のシメからきた語と思われる。 俚諺
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マワシ | 褌 ふんどし |
腰部にまわして、まくのでこの称があるのか。角力マワシに限らず褌の称。 | |||
マン | 運 めぐりあわせ |
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マン | 繭 | 糸や一代むん繭(マン)や万代むん。 | |||
マンカイダマ | 曲玉の転訛。 曲玉=琉球では玉珈玻羅(カハラ)、珈玻羅玉。 先島=マガラダマ。徳之島=マンカイダマ。曲った玉の音調から訛ったものか。舞い踊り合う意味にも取れる。と共に恋の乱舞でもあったろうか。 民謡
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マンキ | 招く 舞んき 手で招く |
足の筋が悪くつって歩く様子に「シネマンキ」という。 マンキャアシビ=招き遊び。男女が対向して座席し歌に合わせて招き踊りをする。天城方面では仕事唄に旧東天城地区(下久志から手々方面)では「キョウダラ」(京太郎の意か)の正月唄になっている。 民謡
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マンクス | 馬糞 | マンクスダグ=馬糞団子、蓬餅の別称。相手の卑称にも使われる。 | |||
マンゲテ | 倒れて 滑り転んで |
クゲティも同義語。 | |||
マンジ | 十分 多勢 たっぷり |
萬じの意か。転じて積み重ねた義。または単位にもなる。 チューマンジ=一山薪一山 |
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マンジ | 妊娠しないこと。マンジに比較してマァンジと発音する。 マァンジワナグ=妊娠しない女。不妊症の女。 |
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マンジョ | 饅頭 お菓子 |
饅頭のみでなく、菓子前部のこと。 マンジョマイ=パパイヤ。果実が長方形で香が高く美味、形状が饅頭に似ているところからこの方名があろう。大正の頃アメマンジョウ(飴玉)、コンペイト、蓬来豆等の菓子が店頭にあったが、高価で手がでなかったとか。 |
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マンダキ | 萬抱き 万抱き |
物に恵まれること。 民謡
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マント | 外套 | 防寒のため洋服の上に着る衣。 | |||
マンドイ | 満胴の意か。多大の意である。物量が多い表現に使うことば。 イキャッサャテ マンドンデー。 |
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マンビ | 集積すること。一か所に集めること。 甘蔗(ウギ)が山の様に集積されている(ヤマッテム マンデ アイ)。 |
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マンマ | 幼児語。水や食事の呼び名。 幼児にマンマネー。マンマイドー(水を飲まそうか。水はどら)と語りかける。 |
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マンマグヮ | 継子 | マンマグヮテム=継子の様に取扱いが不親切。 「マンマロ口説」はマンマグヮの扱いを次の様に歌っている。
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