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更新日:2013年4月12日

尾母方言~ア行~

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カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行

徳之島尾母方言集

島口 標準語 用例・意味等
アア アァタリム=垢垂り者
アァケィハンギィムン=垢負者
インチュアケィ=2年垢
数年の間たまった垢。垢でよごれた無精者。垢と風呂釜の関係をみると、風呂は桶、丸鍋、鉄製大鍋、五右衛門、ガス風呂と経緯がみられるが、島の鉄砲風呂は明治18年頃に、大正初期には五右衛門風呂と。また、銭湯は亀津で明治25年頃に創業した。
アァイ 献酒 酒をくみかわす動作。杯のやりとり。
アァインチャ 赤土 古く赤土は赤色の染色材料に使った。
インチャウシ=土牛。
昭和初期頃まで、幼童たちは土牛を造り熱灰で固めて模擬闘牛をして遊んだ。
アァガイ 明かり
照明
光り
ランプ
松明
 
アァギン 赤衣
赤着物
アァギンキリムン=赤衣を着た者。刑務所入りした罪人、また、警察の牢に入った者。牢では、かって赤い服を着させていた。
米寿祝い日に赤衣を女性が着たとも聞く(面縄)。
アァグシュ 赤胡椒
赤唐がらし
蕃椒
胡椒は腹痛の薬にも使い、鶏卵に混じて卵焼にして食した。昔話の「鬼退治に」、鬼が洞穴に入ったので、穴の入り口で多量の胡椒を燃やしたら、煙で窒息死したという。
アァグミィ 赤米 赤味を帯びた下等米、大唐米などの類。
トゥブシ=唐節
世間胸算用

台礁の赤米を栬(もみじ)の秋と眺め・・・・・とある。徳之島には現在全くないが、昭和20年頃まで栽培されていた。種子島の赤米神事は有名である。

アァグヮ 赤子
赤児
赤ん坊
アァグヮネシュムンヌ=赤子程の者、卑称に使われるグヮ=子
アァゴォ   相手をけなすために唱和する言葉。悪口の詞。醜態をみて口走る詞。
アァシ 松の油木 乾燥して燃焼度がよい薪にアァシみたいだと称する。種脂、豚脂、石油以前の照明用の燃料として貴重だった。

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アァデェクネ 赤大根
にんじん
大根の意
アァトキ

夜明け直前、直後の頃。
アァトキネィサル=朝食前の食事。

ワガセコヲ ヤマトヘヤルト サヨフケテ アカトキ露ニ立ヌレシ。

アァトキヨネィ=朝夕。
アァバンシン 赤蕃薯
赤芋
赤味がかった甘藷。
アァウナンダ=赤色の甘藷。
ハンシン=蕃ス、支那の甘藷。
アァヒンマ 赤昼間
真昼間
明昼間
ヒンマュクイ=昼の休み。
ヒンママド=昼のひま二。
アァナシル=明な昼、明るいうち。
アァブシャ 赤毛シヤ
赤牛
赤焦げ色
アァブシャカラジ=赤茶けた毛髪。
アァブシャムン=伸び伸びしていない称。
(植物・動物の場合)アァブシャバテ=やせた畑。
アァマッテブ 赤蛇

伝説に「女性が野で昼寝をしていて赤蛇の子を孕み、六月ネィルで下したと。」→神霊化されていて、神力があると言う。赤蛇は蛇を巻き殺すと信じられており、神聖視される。

この白猪に化(ナ)れる葉、其の神の使者(ツカヒ)ぞ。今殺さずとも、還らむ時に殺さむ。

-書記には、白猪とは大蛇の事とある。

アイ たで科の植物で藍染の原料として使われていた。
アイタダキ=藍溜。藍玉と馴染深い。藍亀は庭先や物置で見かける。
轟木のアイタダキは、厳存していて当時が偲ばれる。
アウル 深淵部(川、池、海の水深の深いところの称) アウルカチトンジ=深みに飛び込んで。
アウヌギャ 青大将 ヌギャ=出す、ぺろを出す。
ヌギジャチ=青大将が出した。舌を出す者にアウヌギャネシュムンヌと卑称する。
アカ
吾姉
アカグヮ=姉グヮ、グヮは尊称で娘のこと。

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アガリ 上がり
日が上がるの意
東の方位
太陽の昇る意からアガリは神聖な方位とされる。アンザネの釜石は東に処置する。二十三弥のシダラ葉は東方のものを使う。

上りあかがゆっさ月と あかがゆん肝(キム) いしょがりんしんせょち 道に立つな。

イリ=入り、日が入る、日が没する、西のこと。
メェ=前、真向いに日射を受ける方角。
ハイ=南
ハイヌカデ=南風。
クシ=腰、後、うしろ。
ネギリ=右、強く握るの意か。
シジャイ=左、ヒダリの訛音。
ウェイ=上。
サァ=下。
ニャ=中。
マンナ=真中。
シン=隅。
アマンクマ=彼処此処。
アゲィ=高地、陸地、
アゲィダ=高い所にある田。
アガシ あのように
アガイ
ウガシ=そのように。
アキネ 商売
売り買い
明治の頃は商店が少なく行商が多かった。島肉のアキネは盛んだった。
アキネシッチュ=牛馬の馬喰。
アキロァイ 飽きる 脂っ気が多くて、腹にもたれるような気分。食欲がでない気分。正月豚の白肉(脂肪)はアキロアァヌ食べられない。
アギムン 鰓物
えら者
おしゃべり屋
弁舌家の卑称
 
アクイ あくび
欠伸
アクイタラタラ=連続的にアクイをする。
アクバテ 欠伸果 仕事が多くて嫌になる。嫌気がさす気分。
アグ 友人
相手
組手
グループの一員
アグトメイ=相手を探す。
アグマイ 睡たい
眠い
アクバテと共通した気分。
アグミ 跨ぐみ 幹によじ登る

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アグンジャイリ  

端座の膝を少しくずして坐ること。

其の剣の前に趺(アグ)み座(マ)して、其の大国主神に問ひて言いたまひしく。

-足を組んで、とあることからアグンジャイリと同意とする。

アゲィシ 吐く 口や胃の中の物を外に出す。
アゲィジマ 上げ島 海辺より高い山手の村落。シマは島ではなく、村や部落のこと。
上げ部落(ジマ)漁=川蟹、川海老、どじょう、たにし、田うなぎ、川うなぎ、山鳥猟などのこと。
アササ カネアササ=金高い声で鳴く蝉(アブラゼミの種)。
アサッテ 翌々日
明日去る日
 
アシビ 遊び アシビンド=遊び場所、青年男女が夜間に三味線や唄で遊んだ家(遊び屋)。
アジャ
父の卑称
阿自(アジ)、按司(アジ)、主(アルジ)、按察使(アゼチ)など説は多い。徳之島の行政時代区分で按司時代は44代元明天皇和銅6年(713)南西諸島一帯は大隅国の属島となったが、支配力がないまま放置されたため、強者、豪族が争った。この時代の事で、按司=あんじ、あるじ(主)の転訛。按司加那之と神格化した表現をしてきた。いずれか判断できない。
アジン 一種の杵で棒状のもの。味噌を搗く用具。
アセィ アセィミジナガチ=汗水流して、苦労して。
アセィ 朝飯 アサイイの約言、アサは午前を指す。昼飯のこと。
アセィインキャギィレ=昼食を召し上がりなさい。
アセィクレティ=欠昼食

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アセィブ 汗疹 汗で皮膚のしめりで生ずる水泡性発疹、はれ物、腫物。幼少の頃、密柑の皮の汁をアセィブにかけて発疹を防止したことを思い出す。
アタイ 菜園 屋内の菜園。
アタイバテ=屋敷近くの畑、近隣の畑にもいう。
アタダン 慌く
急に
にわかに
 
アタラァ 惜しい
大事な
勿体ない
アタラ夜=惜しき夜。

あたら夜の月と花とを同しくは。

アダ
黒子
ほくろ
斑文
顔にアダがあると果報の兆だという。
アチアイ 暑い
熱い
 
アチャ 明日
翌日
ナァアチャ=ナァは今、ナァアシタでも一つの朝か。
ナァ一つ=あと一つの意で次の朝か。
アディ 道路の交差点 葬制で三日の別れの行事の一つに、アディで葬式に使った道具(炊事用)を投げ捨て、霊を迷わす呪術をする。糸を三方に引き合う儀礼もある。
アディテ=糸の乱れる様子。縄や糸が数組交わっている所。
アゼ=織物。
ムラヌアディ=村の畦、古く青年の遊び場。
アドゥ
かかど
 
アビィケシ 呼び起こし
呼び返し
肉体を離れて迷い出す人霊を屋根に穴を穿う。声をあげて呼び返す。
ミチヤウガンアランド ミチヤカンド○○○○と(道は其処どこではない此処に来るのだ。と重病人の名を呼ぶ)。また、病床の耳もとで大音声に呼び返す儀礼もする。霊魂呼び戻しの意。

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アビィリ 呼ぶ
叫ぶ
アビィラムン=叫び者。
アブシ 田の畔 アブシマクラ=畔枕、水稲の豊作の称。
アブシクナギ=鶺鴒、石たたき。鳥の動作が交尾のそれと似ているので、クギナという。
アブイコ 炙い器
餅網
鉄炙
 
アブン   水深の深い所。
アウル、アフルと同義語。陸地の深い縦穴のこと。隆起の際にできた自然穴で何処まで深いのか判然としない。
アブン 虻(アブ) あぶ科の昆虫。金虻=金色の甲の虻。
インニャクレアブン=臭気のある虻。糞尿を食う虻。
アマダ 網棚
天棚
炉の上に板または簀(サク)の棚を作り、薪を乾燥させるための設備。唱和10年頃以前は貴重な棚で逢った。
アマダイ 雨垂れ
雨だれ
軒下
古くのこと、生後7日以内に死亡したら軒下に深い穴を掘って埋葬した。地炉近く(火神)に埋葬した。など部落によって異なる。
アマガク 雨蛙 ガク=蛙、鳴き声がガクガクと聞こえるのでこういうのか、また、アマガクが鳴くと降雨が近いと古老は語る。真実を語らない者にアマガクネシュムン(雨蛙みたいな者)と卑称に用いる。
アマガサ 雨傘
雨暈
月や日の周囲に丸く曇って見える暈、雨の前兆で空気に水分が多いときにできるという。
アマ
祖母のことで
吾母、阿母、大阿母知(オゥアモシラレ)=祝女(ノロ)の上部の階級にいう。祝女は男性禁制の祝祭をなす。
フゥアマ=大母、祖母。部落によって異なる。

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アマン 寄居虫
やどかり
蜘蛛
アマンクブ=蜘蛛。
アマンギリ=散髪を疎にすること。寄居虫のぎこちなさを表現した例と言えよう。
アマンクマ   アマはあそこ、クマはここ、彼処此処、あちらとこちらの意。
アメィ  
アモリムン 天降り者
風来坊
放浪者
テンチアモリ=天んち雨降り。羽衣伝説にちなむ語科。羽衣伝説の詞は部落によって異なるが、天から降りてきて川で浴びている件から語られている。
古事記の「其の島に天降(クダ)り坐して」の、いわゆる淤能碁呂島(オノゴロジマ)に天降り下の、天降(モ)りに解されたのか。
アヤ 淡い
「祝女の祭詞」「げすの子の、玉がりムンな、山いきばアヤク、マダラク、いしょ行きば、くじらわんさば、いとちぢまき。」(山の蛇、海の鯨、鰐、鯖、竜巻)。と恐れられてきた。蛇の模様(綾斑)と、海難の恐怖を秡い清める詞である。
アヤガイ アヤが悪い 拍手が悪い、怒る、言い争う、腕力で暴れる。
源常=あらかふべくもあらず。
アヤクマダラ 綾斑
毒蛇
マジムン=魔じ物。マジュン。祭詞にはアヤクマダラとあるが、普通「マジムン、マジュン」と呼ぶ。
アヤグ
もち米
アヤ=淡い、アマイ、アヤアヤの同系綾=物品の美称。
アヤハンヂキ 綾針突
入墨
針で突いて入墨をする。ハンヂキ、ハンヂキャともいい、南島では針突は女性の憧れだったという。
アヤグヮ 綾子 上流家庭の婦人の尊称。藩政時代の役人の身分からきた語か。そして明治、大正の衆加那支階級へと引継がれたようだ。

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アヤハビル 綾蝶 綾の蝶か、それとも蝶があやかるの意か。ハビルは神の使者として神聖視されてきた。産衣や祝衣の背に布をハビル型に切って縫い込んで着せた。
アラ   米にまじった籾。
アラッテム=アラのように、少数の意。
アラグェー 荒肥料
きゅう肥
堆肥
人糞肥
科学肥料以前はアラグェーが貴重であった。神田、賜田、祭田にはアラグェーは使用できなかった。祭場の清潔を保つ必要からであろう。別の面では、人糞尿をトネ(田舟)に入れて、フンニの苗の根部をつけてから、本田に移植したというから、忌と呪力の二面があったようだ。
アラベェー 荒南風

梅雨半ばに吹く風。
フンチャゲアラベェーと呼ぶ部落もある(伊仙)。プンチャゲは岩しぶきの称で、吹き上げる意という。
この季節には帆船の難破が多かった。

七月荒南風(アラベェ)ぬ風(カデ)あらめ
七月荒南風ぬ 吹(フ)ん上(チャ)げよ
一週間(チョウナンカ) 二週間(タァナンカ) 風(カデ)や吹かんよ

クルバイ=黒南。3、4月(旧)の田植え後に続く天候で、天が黒くなり悪天候になる。
シラハイ=白南。5月になると天は白くなり、良い天気となる。
ウナンドリ=6月土用の波静かな日。ウナンは雌牛、ドリは凪のこと。
ネシアガイ=北明がい。12月から2月にかけて吹く風。砂糖船は(10月下り船)以後シラハイが吹く5月頃まで、良港で待機していた。
ウキネシ=子の方角(北風)から吹く風。
クチヌカデ=辰の方角(東南東)から吹く風。
エーマウシトゥシ・ウレジンクチョブキ=3月の風雨、牛馬が死ぬ程、痛手をうけたという。

アラムン 新物の意
うそ
アラムンベェンイイナ=嘘だけいうな。
アリ あれ

あの物
あの人
 
アリリ 離婚
離縁する
別々になる。
アロ

川や海に仕掛けて、蟹や魚をとる竹製の道具。
ターガン=鷹蟹が海に下る頃に川に備えておくと漁に恵まれる。

吉野河の川尻に到りましし時、筌(ウヘ)を作(フ)せて魚を取る入有りき。

-和名抄には「捕魚竹筍也。筍 取魚竹器也。」とあり、書記や万葉集にも囮の記録がある。

アン 阿母
祖母
アングヮ=姉小、ばあさん。アンジョウともいう。アンサレ、ハンサレ、ハンサリは阿母知と同義語。奥様。琉球古語のアモシラレは国母陛下の義。アモは阿母、シラレは白洲、知らす。聞こしめすは治めるの義、人民を知り人民の声を聞く。
アングイ  

雄牛のなき声。闘魂をもやしたなき声。
アングイ=アン声か。

白井(シリ)ぬ為順衆や 闘(オイ)牛ぐゎ持(ム)っちゅてよ
白井ぬ真中(マンナ)下(グダ)い アングイ付(チ)かち・・・・・

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アンダネ 畦祓い 水田の畦の草払いをする日で農耕儀礼の一つで、畦の加護を祈って豊作祈願をする。鼠や蟹の害をなくするための神事の一つ。近年はその意義が薄らいできた。
アンドン 行燈 マンニンドン=万年燈、小さいランプ。道行きには好適である。硝子の厚みがあって強い針金で保護されているため長持ちすることから、万年の異名が冠せられたのか。特に砂糖小屋では重宝がられた。
アンバ 油脂類 ウヮーアンバ=豚脂
ウシアンバ=牛脂
タネアンバ=種油
アンバミシ=あぶら飯
アンバ亀、アンバタリリなど民俗語いが多い。
アンバグチ 油口
冗舌
おしゃべり
弁舌
アンバグチムン=弁舌家。
アンベェ 塩梅
具合
アンベェネイ=具合が悪い。健康状態の可否。
アンベェワサ=塩梅悪さ。気絶して気分がすごく悪い状態のこと。
アンユ あの世
後生
後世
此の世(現世)の反対語。グシュの項に詳記。

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お問い合わせ

所属課室:社会教育課郷土資料館

鹿児島県大島郡徳之島町亀津2918番地

電話番号:0997-82-2908

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