鋏はさみ脚あしにふさふさとした毛を持ち、食べるとおいしいモクズガニ(甲幅7〜8cmと大型、別名山太郎ガニ)は、秋になると汽水域に降りてきて交尾産卵します。孵ふ化かした子供は海に散らばり、少し大きくなると川に戻ってきます。春先になると下流・中流域の小石の下にモクズガニの稚ちガニを多く見ることができます。▲ オキナワヒライソガニ (潮間帯の岩や転石の下でよくみられる)▲ ツノメガニ (甲に帯状のまだら紋がある。夕方から夜間に活動し、影だけが動くように見える)▲ モクズガニ (日本国内に生息し、ヤマタロウ、ケガニ、ズガニ、▲ オカヤドカリ (比較的大きなヤドカリ。日中は岩陰やアダン林のツガニなどと各地で呼び方が違う)巣穴にいて、食性は雑食)▲ リュウキュウコメツキガニ (大瀬川河口などで見られ、干潮時に巣穴から出て▲ ソデガラッパ (山型に盛り上がった甲幅は5㎝もあり、表面がつきて、珪藻類を食べる)ぶつぶと突起している)流心部(流れの中心部)にサワガニ類はおらず、ヒライソモドキ属のカニが主流になります。さらに汽水域の周縁部に広がる砂さ泥でい質しつ干ひ潟がたの海岸部に目を向けると、スナガニ類、イワガニ類、オウギガニ類など様々な種類のカニが観察できます。スナガニ類のリュウキュウコメツキガニは、琉球列島固有種で、甲幅8㎜ほどのかわいらしいカニです。このほかヒメカクオサガニ(甲幅10㎜弱)、奄美以南の琉球列島に生息するオキナワハクセンシオマネキ(甲幅20㎜)、ヒメシオマネキ(甲幅17㎜)、ルリマダラシオマネキ(甲幅25㎜)、ベニシオマネキ(甲幅15㎜)などが見られます。このほか、イワガニ類ではミナミヒライソモドキ(甲幅10㎜)、コイワガニ(甲幅15㎜)がよく見られます。また、オウギガニ類のセイビロオウギガニ(甲幅35㎜)やワタリガニ類では小型のフタバベニツケモドキ(甲幅30㎜)も観察できます。なお、河川の影響がない干ひ潟がたにはスナガニ類のツノメガニ(甲幅35mm)やミナミスナガニ(甲幅20mm)を見ることができます。これらは、砂浜や隣接する植生帯に巣穴をつくっています。内陸部に棲む甲殻類もいます。オカヤドカリ類、オオガニ類、カクレイワガニ類です。オカヤドカリ類は徳之島に身体が一番大きいムラサキオカヤドカリ、やや小型のナキオカヤドカリ、⿊っぽい色をしたオカヤドカリの3種確認されています。陸地に棲むカニとしてはカクレイワガニ、オオカクレイワガニ、オカガニがいます。彼らは、樹木の根本などの土中に巣穴を掘って生活しています。磯やサンゴ礁しょう原げんに棲むエビやカニの種類は豊富ですが、サンゴ礁原に固定した棲みかを持つものは少く、イワガニ類のような移動性のものが多いようです。主なものに小さくてきれいなヒメイワガニ、⻘みがかった体色をしていて脚には紫色のまだら模様を持つミナミイワガニ、波の当たる磯にいて足が速く食用にもなるイボショウジンガニ、甲羅の横幅が⻑くつぶつぶになっているビロウドアワツブガニ、ムツハオウギガニ、小型で全身がふさふさとした毛でおおわれているケブカガニ、小型で淡たん褐かっ色しょくのまだら色をしたヒメイワオウギガニ、⻘紫の模様の入った甲羅と脚の⻘色の縞しま模も様ようが特徴的なキバオウギガニ、甲幅6㎝で目が赤いイワオウギガニ、サンゴ礁内にたくさんいるスベスベサンゴヤドカリ、クリイロサンゴヤドカリ、甲幅4㎝で洋ナシ形をしたアシズリツノ15
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