3川に棲む甲こう殻かく類るいたち▲ ⻲徳川上流の沢(岩や⼩石だらけの川床)▲ アマミミナミサワガニ(川の上流から中流域で見ることができる)▲ コンジンテナガエビ(大型のテナガエビで、下流域より上流域のほうが大きい)徳之島には、井之川岳や天城岳を水源とする秋あき利り神がみ川がわ、大瀬川、⻲徳川、万まん田だ川がわといった河川や小河川が数多く流れています。また、河口域の両サイドにサンゴ礁が広がり、ウンブキのような地下系汽き水すい域いき(淡たん水すいと海水が混ざる区域)も存在します。川の上流部は、一般に沢と呼ばれるように水量はそれほど多くありません。川かわ床どこも砂地がほとんどなく、転てん石せきや小石で覆われています。この水域の甲殻類には、徳之島と奄美大島の固有種であるアマミミナミサワガニ(甲こう幅はば30mm)やリュウキュウサワガニ(甲幅20mm)、中琉球域に分布するサカモトサワガニ(甲幅40mm)の3種が見られます。エビは、ハサミの先端に毛が生えているヤマトヌマエビ(川の全域に分布)とトゲナシヌマエビ(上流域にのみ生息)、体⻑7〜9cmほどもある肉食系のヒラテテナガエビの3種が観察できます。中流域は、流れの早いところは岩や小石が広がり、流れの弱まる淵の周囲は砂地になります。そのような場所にはアシやヨシ(水の中に生えるので「抽ちゅう水すい植物」といいます)、カナダ藻もなどがよく生えています。カニは上流域と同じ3種類が観察できますが、リュウキュウサワガニは稀に観察できる程度になります。エビは上流と同じ種類のほかにミゾレヌマエビとヌマエビ、ミナミテナガエビ(9〜10cm)やコンジンテナガエビ(9〜12cm)も見られるようになります。春から初夏のころに抽水植物の根本などに稚ちエビを多数見ることができます。下流や河口域は砂さ泥でい質しつの川床が広がり、潮ちょう間かん帯たい(潮の満ち引きの影響を受ける地帯)には抽水植物や塩に強い植物が繁殖しています。ここには他の水域にもいるエビのほか、ヒメヌマエビ(10〜20mm)がたくさんいます。塩水が強くなる河口のあたりを汽水域といいますが、この辺にはスネナガエビ(体⻑4㎝ほどでテナガエビとしては小型です)やケフサイソガニ(甲幅30mm前後)、オキナワヒライソガニ(甲幅24mm前後)が出現します。なお、川の14川や海の生き物たち
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