▲ オキナワジイ▲ トクノシマテンナンショウ▲ オキナワウラジロガシの板ばん根こん▲ ラン科のトクノシマエビネ徳之島は、南部に琉球石灰岩の台地が広がり、北部は約1億年前に海底にたまってできた砂さ岩がん、泥でい岩がん層や花か崗こう岩がんなどが広がっています。このため、北部は酸性土壌、南部はアルカリ性土壌になります。これに加えて、徳之島は天城岳、井之川岳などの高い山々が連なっているため、他の島々にはない多様な植物を見ることができます。徳之島の特徴的な植物として、徳之島固こ有ゆう種しゅであるハツシマカンアオイ、タニムラアオイ、トクノシマテンナンショウ、トクノシマエビネ、徳之島固有亜あ種しゅのオオアマミテンナンショウ、奄美と徳之島の固有種であるアマミアオネカズラ、オオシマガマズミ、オオシマムラサキ、オオバカンアオイ、ウケユリ、固有亜種であるアマミテンナンショウ、アマミタムラソウ、日本国内には徳之島でしか見られないタイワンアマクサシダ、ムシャシダ、ホウザンツヅラフジなどがあります。このほか県指定希少野生植物や徳之島三町指定の希少野生植物もあります。徳之島の植物種は山間部から海岸地帯まで多様性に富み、その種類もたいへん多いため、ここでは徳之島でよくみられる植物や徳之島の固有種を紹介します。ラン科には数多くの「属ぞく」(グループ)があって、その多くが美しく独特の形の花を咲かせます。徳之島のランは標高の高い森に生育するもの、樹木の幹や岩の上に着ちゃく生せいするもの、森の中の地面で生育するものなどがありますが、多くは湿しつ潤じゅんな環境を好みます。徳之島固有種であるトクノシマエビネは、ラン科エビネ属の地ち生せいランです。絶ぜつ滅めつ危き惧ぐ種しゅで徳之島での採取は禁止されています。3月から4月にかけて花をつける多た年ねん草そうです。フウランやナゴラン12徳之島の特徴的な植物シイやカシの木 オキナワジイ(スダジイの亜種)は、井之川岳や天城岳などの山頂部周辺に広がる島を代表する天然木です。春になると樹じゅ冠かんがブロッコリーのように見えます。花は2〜3月に開花し、翌年の秋に椎しいの実をつけます。昭和30年代まで、椎の実は島の人々にとって重要な食料でした。イノシシやアマミノクロウサギにとっても椎の実やどんぐりは生存に欠かせない貴重な食料です。その周囲に、50年ほど前に伐採された後に自然に発芽したオキナワウラジロガシやアマミアラカシなどの木が広がっています。リュウキュウマツも広く分布していましたが、平成10年ごろから奄美群島で松くい虫被害が蔓まん延えんして、その95%が枯れてしまいました。ラン
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