徳之島学へのいざない―とくのしま今昔―
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▲イボイモリ▲トクノシマトゲネズミ▲アマミハナサキガエル▲オビトカゲモドキ▲ 名前の由来となった トクノシマトゲネズミの トゲトゲネズミが天然記念物に指定されたのは昭和47年(1972)のことです。その後、徳之島に生息するトゲネズミは染せん色しょく体たいや骨格が奄美のものと違うことがわかり、平成20年(2008)にトクノシマトゲネズミとして登録されました。名前の由来は、毛の中に2cmほどの先の尖った平たい棘とげが生えているためです。敵に襲われそうになると、この毛を立てます。でも皮はたいへん薄く、強く押すと簡単にむけてしまいます。また、普通のネズミは手足を交互に出して歩きますが、トゲネズミは足をそろえてピョンピョン跳ねて移動します。ハブから攻撃されたときは、1m近くもジャンプして避よけます。オビトカゲモドキは、沖縄のクロイワトカゲモドキの亜あ種しゅとされてきましたが、DNAの研究などにより徳之島固有種であることが分かりました。平成15年(2003)に県天然記念物に指定され、令和3年(2021)に種の保存法の国内希少野生動植物に指定されました。オビトカゲモドキには、首に1本、背中に3本の白っぽい帯があって、全⻑が12〜14cmと日本のトカゲモドキ属で最も小型です。ヤモリの仲間ですが、ヤモリと違って目ま蓋ぶたを持っています。また、ヤモリが壁などを歩く際に使用する「指し下か板ばん」(どこにでも張り付くことができる指の板)はなく、代わりに爪を使って樹やコンクリートの壁面を移動します。敵に襲われると尻尾を切って逃11トクノシマトゲネズミオビトカゲモドキアマミハナサキガエルげますが、新しく生えた尻尾には白い帯はなくなります。冬の間は冬眠します。イボイモリイボイモリは原始的なイモリで、とても両りょう生せい類るいとは思えません。皮膚はざらざらと乾いた感じでどちらかというと爬は虫ちゅう類るいのようです。体の左右の突起は、肋ろっ骨こつの先端部です。皮膚は⿊色ですが、肢あしの先端や突起の部分はオレンジ色をしています。奄美大島から沖縄島にかけて生息していて、鹿児島県の天然記念物にもなっていますが、徳之島ではよく見られます。幼よう生せいのときは水の中で過ごし、3〜4cmになると陸に上がり、その後水の中に戻ることはありません。湿度のある落ち葉の下、朽ちた倒木、捨てられた瓦やトタンの下などで固体を見つけることができます。オビトカゲモドキやイボイモリは、人の生活空間で見つけることができますが、これは徳之島の特徴だそうです。アマミハナサキガエルは奄美大島との共通種で、鹿児島県の天然記念物です。森林性の大型のカエルで夜間の沢や林道などで見かけますが、石灰岩台地にある学校の校庭でも観察されています。後ろ肢が⻑く、ジャンプ力は日本一と言われ、2mほども飛びます。体色は褐かっ色しょくから緑色まで様々で、冬に繁殖期を迎えます。鳴き声は、他のカエルのように大きな声で鳴くことはなく、ピッといった小さな声です。

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